WBCの意義① チェコ代表が教えてくれたもの

第5回WBCは、見事日本の優勝で幕を閉じ、大変喜ばしい結果となった。しかも1次リーグから決勝まで日本は全勝という完全優勝を成し遂げたのだ。

日本代表が戦ってきた相手の中でも、今回とりわけ注目を集めたのが「セミプロ軍団」チェコ共和国代表ではなかろうか。

結果は10-2と日本が格の違いを見せつけた格好となったが、チェコ代表がひたむきにプレーする姿が特に印象に残った。

この日の先発マウンドは、3/11という日本にとって特別な日に誰よりも特別な思いを持って臨んだ岩手県陸前高田市出身の佐々木朗希投手。

その思いはボールに乗り移り、序盤から160km超えを連発する快調なピッチングで、チェコ攻撃陣のバットは次々と空を斬る。

しかしチェコ代表も怯むことなく、この格上の投手を相手に全員小細工なしのフルスイングで真っ向から挑んでいく。7番打者のウィリー・エスカラ選手は、佐々木朗希投手の162kmの快速球を右膝に死球を受けながらも、立ち上がり、次打席からも変わらず踏み込んでフルスイングをしていた。私はこのチェコ打線の姿勢を日本の選手達と指導者が見習うべきだと思う。

例えば明らかに格上の投手をなんとか攻略しようと「大振りをせずにコツコツ当てていこう」という指示が出ているのだろうな、というシーンはよく見受けられるが、果たしてそれは本当に効果があるのだろうか?

また、体の小さな選手には、バットを短く持って小さく振ることを強要する指導者は多いが、それはかえって逆効果である。体が小さくパワーのない選手ほど、しっかりとトップを作って大きなスイングをしなければ、内野の頭すら超えないのである。

実際には、そんな小細工を相手投手はそれほど脅威に感じてはいない。むしろフルスイングされて、だんだんタイミングが合ってくることの方が不気味に感じる。

体の小さい選手は、パワーがないというよりは、体をうまく使うことが苦手なのである。だからこそ、子供のうちからフルスイングすることを体で覚えさせる必要がある。みんな、目の前の試合に勝つことよりも、ホームランを打ってプロ野球選手になることを目標にしているのだから、野球の本質的な楽しさを奪ってはいけない。

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