予告先発なしには大賛成

2021年の日本シリーズは、東京ヤクルトスワローズvsオリックスバファローズの対戦となった。実に26年振りの顔合わせである。両チームとも、これから脂の乗ってくる若い選手達が主力を張っており、非常に楽しみなシリーズだ。

そんな中、今シリーズでは予告先発は実施されないと決まった。スワローズ側が同意をしなかったそうだが、この決定に私は大賛成である。

予告先発には賛否両論がある。もちろん予告先発肯定派の意見に異論を唱えるつもりもない。私は、先発投手を予想するのは楽しみのひとつであると考えている。駆け引きなしの野球は今ひとつ面白みに欠ける。

最近では、レギュラーシーズンの全試合で予告先発が実施されるようになっているため、「当て馬」と呼ばれたいわゆる偵察メンバーが姿を消した。相手投手が左右どちらかわからない時に、登板予定のない投手をスタメンに入れておき、判明した時点で野手と交代する作戦である。昔、神宮球場で観戦していた時に、先発メンバー発表で7番レフトで登板予定のない投手の名前がコールされた時に、隣に座っていた女性が大喜びしていた事があった。どうやらその投手のファンらしい。しかし偵察メンバーなので、試合開始と共に当然のように選手交代が告げられ、その女性が、事情をよく飲み込めないまま落胆の表情に変わっていったのを覚えている。

確かに、「自分の好きなピッチャーが投げるから観に行きたい」という人もいて、もしかしたらそれが一生に一度の生観戦かもしれない人もいるだろうから、予告先発の制度が悪いということはない。しかし予想する面白さも失われてほしくない。

なので、せめて日本シリーズだけでも予告先発なしで通してもらえたらと思う。

日本シリーズは、野球の奥深さを学ぶには恰好の教材である。短期決戦だけに、負けたら後がない状況での戦術の攻防が繰り広げられるからだ。私も少年時代、日本シリーズを観戦して野球観が変わっていったものだ。

少年野球の指導者には、ぜひ選手達と一緒にテレビ観戦をしながら解説をしてあげてほしいと思う。

この状況下で、バッテリーはなぜこのボールを選択したのか?この選手をこの場面で起用する監督の意図は何か?など、勝敗とは別の野球の醍醐味に必ず気付くはずである。

ちなみに、予告先発をして、自軍の手の内を明かしつつ、わざと裏をかいたオーダーを組む監督もいる。これもまた、面白いけどね!

コメント

タイトルとURLをコピーしました