データのない対戦相手と戦う難しさと中国の躍進

ついに開幕した第5回WBC。日本代表の初戦は中国に8-1で勝利。正直言って、実力的にはコールドで勝ってほしかった試合だが、同時にノーデータの相手と戦う国際大会の難しさを痛感した試合でもある。

中国の投手陣は、登板した6投手全てが制球にバラツキがあり、球種もストレートだかなんだかよくわからないボールを投げていた。特に5番手で登板したイー・ジェイ投手は、まともなフォーシームのストレートはほぼなく、時にはワンシームも投げていた。意図的にボールを動かしているようであった。彼はアメリカでプレーをしている投手であり、そこで投球技術を習得していると思われる。

ただし、彼らがメジャーやNPBの一線級としてプレーするには球速が平均10キロは遅く、コントロールもストライクとボールの差がはっきりしている。

彼らのレベルは、日本でいうところのアマチュアレベルなので、際どいコースは「なんで振ってくれないんだ?」と感じながら苦労したはずである。トッププロからすれば、まだまだ見極めが容易なコントロールレベルである。

ただ、その「バラツキ」が日本を困惑させていたのもまた事実である。なんせデータに乏しいチームだけに、投手の持ち玉もわからないのでクセも見抜きにくい。

中国代表の全体的なレベルも、前回出場時に比べれば、プレーの確実性はかなりレベルアップしていた。ただし、プレーのスピード面ではまだまだプロのレベルにはなく、特に内野手の捕ってから投げるまでのスピードはトッププロとは雲泥の差があり、内野安打を献上するシーンは今後も多いであろう。

しかしながら、中国には人口14億人超えの下地がある。幼少期から野球の英才教育を施す学校もあるようで、今後の躍進が楽しみである。

WBCの開催を通して、野球が未開拓な地域から、野球人口増加の裾野が広がっていくことは、大変に喜ばしいことであり、この大会の本当の意義であると思いたい。

コメント

タイトルとURLをコピーしました