そのルール、誰のためにもなっていないでしょ!意味のないルールは撤廃しよう!

スポーツ選手の競技力の向上は、用具開発の歴史と歩みを共にしている。

北京オリンピックで新競技として採用された「スキージャンプ混合団体」。金メダルの期待もかかる日本の1番手として登場した高梨沙羅選手がいきなりのビッグジャンプを見せて快調なスタートを切った日本チーム。ところがである。なんと高梨選手の着ていたジャンプスーツが規定違反とみなされ、1回目のジャンプが直後に失格となってしまったのだ。競技前の検査では合格だったにもかかわらずだ。高梨選手だけではない。他国の有力選手にも失格者が相次ぎ、スキー関係者はこぞって「不可解な判定だ」と怒りを露わにしていた。

スキージャンプでの規定

スキージャンプ競技で着用するスーツには、体からの密着度を示す「ゆとり幅」というものがあり、何度か改訂が繰り返されて、現在ではゆとり幅2cmに規定されている。スーツがブカブがであればあるほど風船のように空気を溜め込むことが出来て浮力が生じるからだ。

しかしこの規定、あってもなくても競技の公平性に影響が出るとは思わない。ならば検査する時間がもったいないので撤廃すれば良いと思う。

このように誰のためにもなっていない無意味なルールは、時にその競技の人気の低下を招き、かえって立場を苦しめる事になる。

高校野球での用具規定

日本では、高校野球で使用する用具において様々な規定が存在しているが、正直「ここまで規制するか?」と思ってしまうものが多い。

例えば使用可能なカラー。

スパイク・手袋・サングラス・エルボーガードなど、ほとんどの用具には「本体・表面のカラーは一色に統一しなければならい」という規定があり、使用可能のカラーとは、ブラック・ホワイト・ネイビーである。

つまりは、柄の入った物やツートンカラー、そして明るい色は使用してはいけないという事である。そこには選手の個性が入る余地はない。

また使用に際しては、試合前に事前に大会本部や審判団への申告も必要でありめんどくさい。非常にムダな時間である。

意外だったのはトレーニングシューズにまで規定があったことで、「本体カラーは、ホワイトまたはブラック一色とする。エナメル及び光沢のある素材は使用できない」と記載されている。これには驚いた。やたらなスニーカーを履いてダグアウトに入ることは許されないらしい。

http://www.jhbf.or.jp/rule/equipment/equipment_2021.pdf

なぜダメなのか?の明確な記載はなし

ただ、使用の規制はあるものの、「なぜダメなのか」という事は明記されていない。この高野連の用具規定は理解に苦しむものである。

そしてこの規制は市場規模を縮小させている。スポーツ界は、各メーカーが素材・機能性・デザイン・価格などあらゆる面の開発でしのぎを削っているわけだが、ここまで規制されてしまうと、その努力が無意味なものとなっている。

デザインの観点からいえば、スポーツメーカーアパレルブランドとのコラボアイテムも多く販売されている中で、新たな市場を閉ざしている。これは野球界の未来にとっては決して明るいものではない。メリットがあるとすれば、選択肢がほぼ絞られているので迷わずにすむということくらいか。

しかし用具の選定にはやはり選手の個性・好みを尊重するべきだ。カッコいいアイテム選びは人間的なセンスを磨くことに繋がっていく。それはスポーツのみならず、あらゆる面でのバランス感覚を養うことになる。

ファッションセンスや物をセレクトするセンスの良い人間は、得てして効率の良い仕事が出来る物だ。組織においても優秀なマネジメント能力を発揮できる人が多い。部下に対する指示も的確で、無駄に長い話やお説をすることもない。話の要点をまとめるのがうまく、プレゼン能力も高い。

日本学生野球憲章では・・・

日本学生野球憲章の第1章第2条(学生野球の基本原理)にこのような条項がある。

「学生野球は教育の一環であり、平和で民主的な人類社会の形成者として必要な資質を備えた人間の育成を目的とする。」とある。

これは、「これからの時代に合った人材を育成して社会へ送り出す」という解釈も出来るのではないか?そのためには時代に合ったルールに改正する必要があると思うが、そもそも野球界はまだまだ閉鎖的な世界だと思う。

100年以上前に学生野球が始まってから、ずっと坊主頭でシックな色の用具を装着する事が良しとされていて、変化を恐れる世界である。別にそれを続けたところで誰のためにもならないし、やめても誰も損をしない。先頭に立って改革をしてくれる人が必要である。

日本学生野球憲章|憲章&規定|公益財団法人日本高等学校野球連盟

野球はカッコいいスポーツ

ここ数年、急激に野球人口が減っているようだが、どうやらそれをただ少子化のせいだけにしている節があるように感じる。私は野球が時代に合った進化を遂げていないことに問題があると思っている。

手首を保護してくれるリストバンドを高校球児が身に着けてプレーをしてもよいではないか。お気に入りのカラーに好きな番号をつけて。アマチュア野球ではストッキングの見せ方もチームで統一しなければならい。

身軽にするために丈の短いパンツを履き、ストッキングを出したい選手もいれば、脛をスパイクされることから守るためにロングパンツを履きたい選手もいる。デザインさえ統一されていればいいではないか。

野球は本来カッコいいスポーツである。野球に限らずスポーツは見るものに取ってカッコいいものであってほしい。子供たちにもそう思ってもらわなければいけない。

今は素材もデザインもせっかく良いものがあるのだから、規制などせずにどんどん使用可能にしなければもったいない。競技力の向上を間違いなく後押しするのだから。

また、使用範囲の制限を撤廃することによって、若い選手達が良い物を見極める目を養う事が出来る。これが重要なのだ!

「ユニフォームのデザインが統一されていれば、ストッキングを隠すロングパンツを履いてもかまわない。また、ストッキングを出す場合は同じデザインに統一する事。」と規定を変えればいい。得する人はいても、損する人はいない。新たな市場が広がるはずだ。

これからは、柔軟な考えで世界のトップに立てる人材を育成しなければならない。そしてその人材が「人財」となってスポーツ界をさらに進化させていくのである。

 

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